ねつをのブログ

インプット意識の高い就活生がアウトプットします。

卒論たるもの、大志を持って取り組むべしと父に薫陶を受けた話

巷でとあるバンドマンの卒論の動向が話題になっておりますが、就活生はそろそろ卒論のテーマ決めのシーズンでして。先日、卒論への心構えを父に説かれたわけです。

筆者の実家はとある田舎にあるのですが、祖父がたたき上げの商売人なわけでして。戦後の焼け野原の日本を見て、「これからは家が建つ」と木材を買い込んで商売を始めた。駐屯している米軍兵の奥様方を見て、「これからの日本の女性は化粧をするようになる」と化粧品の事業を立ち上げまして。「商売人は先見性と行動力でなんぼ」とよく父にいっていたそうです。とにかく新しモノ好きで、当時では珍しい車を乗り回していたそう。

そんな商売人の血を受け継ぐ父に、卒論のテーマの相談をしたところ、一喝されまして。「こんなテーマで卒論書こうと思うんだけど、どうかな?」と食後に質問すると、「それが、何になるの?」と一刀両断。曰く、「世の潮流にそぐわないから、何の役に立つのか分からない。」とのこと。父によると、今後のビジネスモデルを一変させるような、それくらいの卒論を書く意気込みを持て、と言う。

父の言う、世の潮流とは目下東京オリンピックを取り巻いているらしい。1964年の東京オリンピックでは、新幹線が通った。最先端の技術を駆使した新幹線は多くの人の目に触れた。それが、日本のハイレベルな交通インフラの礎になり、海外に輸出するまでになった。当時、オリンピックついでに明治神宮前を歩く外国人観光客が足を止めるところがあった。「原宿」。ヒップホップともポップカルチャーとも似つかない不思議な世界観がそこにあった。日本の「Kawaii」文化が初めてグローバルに広がった瞬間だった。もう一人、東京オリンピックに商機を見出した人がいる。セコムの創業者、飯田亮氏。外国人が大量に東京に押し寄せる、その時に当時の警察の人員ではセキュリティーを維持できない。だから、民間警備がこれからの日本に必要。そして、何度も霞ヶ関に足を運んで、法を変えさせた。それが今のセコムに繋がった。今、戸建ての玄関口に当たり前のようにセコムのシールが貼られている。

戦後の日本にも大人物がいた。昭和天皇玉音放送を聞き「これからだ!」と叫び、鉄かぶと防空頭巾などをかなぐり捨て、社員の先頭に起って社内外の清掃をはじめた人がいる。企業がモノを売るために広告が必要だ、そのニーズを感じて日本の広告業界を変革した吉田秀雄氏。それが今のメディアを牛耳る巨人、電通になった。

世の中の流れを感じ取る。そして、次何が売れるか、それが世のため人のためになるか、そんな心意気が商売人に必要だ、と父は言う。

2020年の東京オリンピックに向けて、残り4年を切った。企業は自社の技術をどのように使えば、その時にソリューションを生み出せるか、日々頭を悩ませている。そして、技術革新のスピードが速い。人工知能やバイオテクノロジー、クリーン技術。おじさん達はキャッチアップできない。でも、国から補助金が出る。期限も決まっている。だからこそ、若者の先見性が必要であり、今の就活生が入社後すぐに即戦力になる。技術をどう使えばオリンピックを快適に出来るか、それが2020年より後の自社の命運を握る可能性がある。だから、アイデアを就活生に求めたい、と父は言う。

そのアイデアを練る場として、卒論がいいんじゃないの、とのこと。東京オリンピックをきっかけにビジネスモデルを一変させるような提言をできる卒論、そして、それが日本が抱える課題を解決し得るスキームであり、官僚がお前に頭を下げて読みに来る、商売人を目指すならそれくらいの意気込みで卒論を書け、と。つまり、卒論たるもの大志を持って書くべし、ということ。

就活生は企業に入るために、自分の過去を分析する。でも、次のビジネスを具体的に考えている人は少ない。どんな部署に配属されるかわからないから、と言い訳される。今の電通を作った吉田秀雄氏は、「仕事は与えられるものではなくて、自分で創るもの」と言う。では、どうやって仕事を創るか。それが、「次に何が売れるか」を考えることなのだと思います。大企業だから見えにくいけど、企業の本質は商売人。なのに、「先見性を持って次のビジネスを構想すること」の重要性を就活対策本は教えてくれない。一方で、日本の課題をもの凄いスピードで処理していく官僚には決定的に時間が足りない。経営者は一つ一つのビジネスをじっくり練るほど、意思決定に時間をかけられない。だからこそ、時間が腐るほどある大学生はそのまま企画書になるくらいの卒論を書けるだろ、と父は言うのです。世のため人のためになるような卒論を書け、と。考えてみれば、毎年50万人以上の卒論が提出される。その一つ一つが企画書になるような卒論であれば、確かに世の中ハッピーになるな、と思うわけです。

商売人として仕事を「創る」ために、好きなことを仕事にするために、大学の集大成となる卒論は大志を持って取り組むべし、と父に薫陶を受けた話でした。